DynamoDB を勉強していたところ,「リージョン」,「アベイラビリティゾーン」という言葉が出てきた.これらは DynamoDB の重要な概念である「パーティション」を理解するために必須,というより AWS を触る上で絶対知っておかなければならない言葉であることが分かったので,それらを調べてまとめてみた.
というわけで本記事では,AWS の基本的な概念である「リージョン」,「アベイラビリティゾーン」を解説する.以下のスライド,記事がこれらの概念を理解するために非常に有用だった.
www.slideshare.net
リージョンとアベイラビリティゾーン
AWS のサービスは世界各地で提供されている.それらは,「リージョン」,「アベイラビリティゾーン」から構成されている.
「リージョン」は,それぞれ地理的に離れた領域のこと.各リージョンでは AWS のサービスがそれぞれ独立して提供されている(完全に分離されるように設計されている).リージョンが完全に分離されていることによって,AWS 全体で耐障害性,安定性が実現されている.リージョンの構成は以下の通り.
- 各リージョン:2 つ以上の「アベイラビリティゾーン」(しばしば AZ と略される)から成る.
- AZ:1 つ以上の独立したデータセンターから成る.データセンターの集合.
リージョンと AZ に関しては,AWS 公式の「リージョンとアベイラビリティゾーンに関する概念」にある以下の図が分かりやすい.
以下は AZ の構成図.複数のデータセンターから成っていることが分かる.
((SPOT301) AWS Innovation at Scale | AWS re:Invent 2014 p.7 より引用)
リージョンの考え方同様,1 つの AZ で障害が発生した場合でも,他の AZ には響かない設計となっている(また,AZ 間を跨いだ通信が 2ms 以下になるように設計されている).また,AZ の構成要素である各データセンターも耐障害性などのために電源・ネットワークなどが別管理となっている.
以上のように AWS のサービスはリージョン,AZ,データセンターから成り立っている.
用語まとめ
それぞれの用語をまとめた.
- リージョン:地理的に離れた地域.AWS の各サービスはリージョンごとに独立している.
- アベイラビリティゾーン:リージョンを構成する要素.各リージョンに二つ以上のアベイラビリティゾーンがある.自身はデータセンターから成る.AZ.
- データセンター:物理サーバの集合.ユーザが利用するリソースとなる.
これらの単語を参考に仮のリージョンとその構成を以下に示してみた.「リージョン > AZ > データセンター」という階層になっている.理解の参考になれば幸い.
- AWS のサービス(EC2,DynamoDB など)
- リージョン foo:地理的に離れた地域
- AZ foo-1:データセンターの集合
- データセンター foo-1-1:物理サーバ
- データセンター foo-1-2
- AZ foo-2
- データセンター foo-2-1
- データセンター foo-2-2
- データセンター foo-2-3
- AZ foo-3
- データセンター foo-3-1
- AZ foo-1:データセンターの集合
- リージョン bar
- AZ bar-1
- データセンター bar-1-1
- データセンター bar-1-2
- AZ bar-2
- データセンター bar-2-1
- AZ bar-1
- リージョン foo:地理的に離れた地域
補足として,リージョン,アベイラビリティーゾーンはユーザが AWS 上で設定することができるが,データセンターはユーザから隠蔽されている.そのため,実際にはデータセンターの構成等はユーザが知ることはできない.
実例:リージョンと AZ
実際に AWS のサービスが提供されているリージョン,AZを見てみる.
リージョン
ユーザが AWS の特定のサービスを使用するときはリージョンを必ず指定する必要がある.尚,リージョンごとに使用できる AWS のサービスは異なり,自分が指定したいリージョンにそのサービスがない可能性があるため注意.
リージョン名は以下のような表記で,英小文字とハイフンから成る.
[大まかな地域名]-[大まかな場所(方角)]-[通し番号]
例えば東京リージョンは以下の様に表される.
ap-northeast-1
ap
はアジアパシフィックの略,northeast
は北東,1
は ap-northeast
(アジアンパシフィック北東)の中の通し番号である.参考までに,ap
を含むリージョンを以下に列挙した.
- ap-northeast-1:アジアパシフィック (東京)
- ap-northeast-2:アジアパシフィック (ソウル)
- ap-northeast-3:アジアパシフィック (大阪: ローカル)
- ap-southeast-1:アジアパシフィック (シンガポール)
- ap-south-1:アジアパシフィック(ムンバイ)
ap
の他にもアメリカ us
,ヨーロッパ eu
などで AWS のサービスが提供されている(当然 us
,eu
の中には複数のリージョンが存在する).
リージョンとそのリージョンで提供されているサービスの一覧表を見たい方は以下の AWS 公式のページへ.
AZ
AZ はリージョン名の後ろに英小文字が足されて表現される.以下に東京リージョンの AZ を示した.
- リージョン:
ap-northeast-1
- AZ:
ap-northeast-1a
- AZ:
ap-northeast-1b
(一部ユーザ) - AZ:
ap-northeast-1c
- AZ:
参考
参考
リージョンと AZ に関する記事
- リージョンとアベイラビリティーゾーン - Amazon Elastic Compute Cloud
- AWSのリージョンとアベイラビリティーゾーンとは? ~ AWSのバックボーンネットワークに関するDeepな話(1) (1/3):CodeZine(コードジン)
- (SPOT301) AWS Innovation at Scale | AWS re:Invent 2014
AZ 間の通信遅延に関する記事